5G規格に対するEUの取り組みは、この新技術に関する欧州の先行き見通し改善にほとんど寄与せず、イノベーターの前途は暗いと業界団体が反発している。

GSMA、開発者アライアンス、デジタルヨーロッパ、ケーブルヨーロッパ、欧州電気通信事業者協会(ETNO)、そして医療IT機関COCIRの6団体は共同声明の中で、欧州理事会と欧州議会で議論されている法改正により、通信会社側としては、規則が増え、さらに煩雑になると述べた。

この6団体は、5Gをデジタル改革の中核に据え、ネットワーク投資を増やし、技術革新を可能にするという意図を持って法律を制定するようEUに促すと同時に、5Gの成功に不可欠と考えられる通信事業改革への対応が「臆病」であるとして、欧州議会と欧州理事会を共同で非難した。

「イノベーターにとっての見通しは今、非常に暗い」と彼らは言う。「規制緩和にほとんど焦点が当てられていないどころか、さらに規則が増え、煩雑性が増す計画がある。そのため私たちは、EUの全機関に対し、5Gの戦略目標を欧州のデジタル改革の中心に据えるという高い志を保つことを要求する。通信・プライバシー法の規制項目は、ネットワーク投資を増やし、技術革新の余地を広げ、欧州の垂直産業の競争力を高め、欧州の消費者の選択肢をさらに生み出すという高邁な目標と完全に整合している必要がある。」

この声明は、欧州委員会が提案した電子通信規約と現行の電子プライバシー指令がEU議会で議論され、通信事業者と関連企業に厳格な新ルールが課せられる見通しが強まる中で発表された。

強まる圧力

この6団体から非難声明が発表されたのは、電子通信規約および電子プライバシー指令の改正案は5Gへの投資を脅かしかねないという警告を欧州最大の通信プロバイダ各社のCEOが出してから2週間後だった。

各社は公開書簡の中で、「5Gプロジェクトを救出する」よう議員に促していた。

以前には、ETNOとGSMAが、電子通信規約におけるスペクトル規制の改正提案によってECの5G運用計画が台無しになるという懸念を表明している。