運輸業界で今、抜本的な変化が起きており、自動車メーカー各社が、ユーザーエクスペリエンスと輸送効率の向上のために、ハイテク企業と提携する必要に迫られている。

これは、アリババグループと自動車メーカーSAICによる新興ベンチャーである斑馬科技(Banma Technologies)の施雪松(Shi Xuesong)CEOが示した見解で、施CEO氏は、業界動向の変化に関するパネルセッションの場で、同社のプラットフォームは、電気自動車の充電ができる駐車場を推奨し、駐車スペースを予約することができると述べた。

同氏は、AlipayやTaobaoのIDなどでのシングルサインインによってユーザーが複数のモビリティプラットフォームにアクセスできる共通のインターフェイスを開発することを使命としており、これにより、競合プラットフォームやバイクシェアアプリなど、モビリティシステムの垣根を越えてデータが流れるようになり、サービスの合理化が可能になるという。

BMWの中国向けモバイルサービスの責任者であるジョー・パティンソン氏は、自動車メーカーが、自社のカーシェアリングサービスから収集したデータを上手く活用し、車の走行時期と走行場所を最適化することによってユーザーエクスペリエンスを高め、交通渋滞を減らす必要があることを認めており、

BMWは、車やバイクのシェアリングサービスを拡大することによって効率を高め、コストを下げるべく、市町村との緊密な協力を進めていると述べた。同社が目指しているのは、車両の稼働状況を改善して、乗客のいないバスの本数を減らすことである。

パティンソン氏は、中国におけるカーシェアの動機は、節約を主な理由とする欧州とは大きく異なると言う。中国には、車を持っていないが運転免許証は持っているという人が多い。

BMWは2016年末に、20台の車両を使ってReach Nowというカーシェアリングサービスを立ち上げた。数か月後には、プロジェクトの規模を100台に拡大し、成都で試験運用を実施する予定である。

ブランド価値

中国では、百度が大衆車市場セグメントを対象とする高性能インフォテインメント/ナビゲーションプラットフォームを提供するなど、高級車市場での差別化が大きな課題となっている。

施氏は、ブランドは重要であり、自身にとってブランドとは、複数の高級ブランド車の所有者であることだと最初に理解すると言うが、他の移動手段が導入されていくにつれて、ブランドの価値は薄まるだろうと考えている。

パティンソン氏は、「私たちは、快適性と利便性の向上のために余分にお金を払っても良いと考えている人たちの生活にシームレスに溶け込むシステムを用いて、このような人たちと共有するプレミアム市場を目論んでいる」と述べ、ブランドは今後も意思決定時の大きな要因であり続けるという考えを示した。

環境問題や交通渋滞によって規制が変わりつつあり、こうした変化によって、車の所有を正当化することが難しくなってくる可能性はあるものの、カーシェアリングは推し進めるべきだと同氏は考えており、「カーシェアの普及による影響は受けるものの、シェアの広がりに伴って各自が車を日常的に使うようになると、車両の稼働率が上がるため、自動車の売上は落ちていない」と付け加えた。

さらに同氏は、市場で利益を得るには3年かかると述べ、BMWは欧州でシェアリングプラットフォームへの投資を増やしていると言う。「数のゲームであり、稼働率の問題である。これは、将来的に当社の顧客となり得る人へのアピールでもある。